用語集

三途の河(さんずのかわ)とは…

死者が中陰(二七日)に渡る河。死後における幽冥の世界。

日蓮聖人の作と伝えられる『十王讃歎鈔』によれば、「此王(初江王)へ詣る道に一の大河あり、是を三途河と名く。此河の広さ四十由旬也。実には奈河(ないか)と云べし。此河に三の渡之有り。故に三途河と云也」(定一九七〇頁)という。

この三つの渡しを浅水瀬、橋渡、強深瀬とよび、浅水瀬は水浅く罪の軽いものが、橋渡は金銀七宝の橋で善人のみが、強深瀬は悪人といったようにそれぞれ渡るように決められている。

この悪人の渡しは、「波の中に衆の毒蛇有て罪人を責食(せめくらふ)。又上より大磐流れ来て、罪人の五体を打摧く事微塵の如し」といい、そして「水の底に沈まんとすれば、大蛇口を開て飲まんとす。浮はんとすれば又鬼王夜叉弓を以て射る。此の如く大苦を受けて七日七夜を経て向の岸に著(つく)」(定一九七一頁)というのである。

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